もしも12分半のマーダー・バラッドがあなたのキャリアのハイライトになっているとしたら、そろそろ手綱を引く頃かもしれない。妖精の姫と、姿を変えられた恋人についての複雑な物語調の曲で知られるオレゴン州ポートランドのバンド、ザ・ディセンバリスツが本作で試したのは、まさにそういうことだ。メロディは耳に残り、ハーモニーは贅沢で、ギター、フィドル、アコーディオン、ハーモニカとペダル・スティールを中心に据えたアレンジは、飾り過ぎていない。バンドの頭脳であるコリン・メロイは、難解な単語と、奇想天外な語り口への情熱を捨ててはいないが、彼は流れを乱すことなく、その両方をコンパクトな曲に詰め込む方法を編み出したのだ。
メロイと彼のバンドは、少しの助けを借りている。R.E.M.のバック・カタログが、良いお手本となってくれるだろう。「カラミティ・ソング」は『マーマー』から拝借したかのようで、ギタリストのピーター・バックが、3曲にピーター・バック風の印象を加えている。同じくらい決定的なのはギリアン・ウェルチで、彼女の寄り添ったハーモニーは、すべてを浮かび上がらせている。普段と比べるとメロイの歌詞は簡潔で、遠い過去(“延齢草とツタで編んだ冠”)を呼び起こしたり、現在(“噛めるアンビエン錠”)をひねって見せる単語で飾られているが、いつにも増して、彼の曲は素直に喜びを味わっている。アルバムで最もゴージャスな「ジューン・ヒム」で、臆病なメロイは打ちひしがれた学生詩人のように韻を踏む。曲作りの限界を広げることのできるバンドにとって、簡潔さがどれほどの深みに達するかを見るのは天命であり、それはとても深いことが判明した。